2019年度 開催結果概要

最優秀賞・優秀賞が決定

最優秀賞

提案

新規培養技術による
『酒づくりイノベーション』

清水覚(プランナー)【ヤフー株式会社】
清水大輔(デザイナー)【SHIMIZUDESIGN】

テーマ

生きた細胞をものづくりの材料に
変える
「細胞ファイバ技術」

株式会社セルファイバ

優秀賞

提案

「段ボール加工技術」から生み出す
明かりの防災プロダクト

柳沢祐治(デザイナー)
【YUJI YANAGISAWA DESIGN】

テーマ

アイデアに富んだ製品を実現する
「段ボール加工技術」

有限会社坪川製箱所

優秀賞

提案

ものづくりをアップデートする
新サービスの提案

清水覚(プランナー)【ヤフー株式会社】

テーマ

運営者と参加者をリアルタイムに繋ぐ
「イベントサポートシステム」

株式会社アーク情報システム

商品化に向けて各社と
デザイナーの協働開始

テーマ賞

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提案最終審査 総評

今回8回目を迎えた東京ビジネスデザインアワードにおいては、審査委員一同、年々提案のレベルが上がってきていると感じていましたが、今回はそれを更に上回り、過去最高にレベルの高い提案が集まった素晴らしいものとなりました。9組すべての提案が上位の賞を受賞するに値するもので、審査委員も正直なところ選ぶのに苦慮したほどでした。

最優秀賞の「新規培養技術による『酒づくりイノベーション』」は、受賞企業の持つ技術のイノベーティブな部分を、デザインを通じ、さらに上のレベルに昇華させたことが大きな評価となりました。デザインには、「人の心を幸せにする、豊かにする、生活が変わる」という力があります。本来、人と分離して存在していた技術は、デザインにより「人の心や生活にフィットし」そこから「イノベーティブの価値」は花開くのではないかと思います。今回の提案は受賞企業の技術を花開かせるような、奇想天外なアイデアであると思われました。優秀賞の「 『段ボール加工技術』から生み出す明かりの防災プロダクト」では、企業の持つ理念と社会的な課題解決というテーマを高レベルのアウトプットに繋げた点に加え、「被災者の心を和らげる」というデザインならではの役目を表現した点が素晴らしいと感じました。もう一つの優秀賞の「ものづくりをアップデートする新サービスの提案」は、アプリケーションという新しいジャンルが新鮮であり、想定ユーザーもパソコンが得意ではなくスマホが得意な方などを含めて考えられ、見えない市場に対するポテンシャルも感じられました。


2018年に経済産業省・特許庁により「デザイン経営」宣言が出されましたが、2012年から行っている東京ビジネスデザインアワードで実践してきたのは、まさにその考え方そのものです。本アワードを通じて、中小企業にもデザイン経営が入ってきており、そこでデザイナーは単なるモノのデザインに留まらず、企業活動のより根幹の部分、例えば経営や収益体制を変えるといった一段上の価値あるデザインを行っているという点を今後も伝えていきたいと思っています。

2019年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長    廣田尚子

2019年度
東京ビジネスデザインアワード
審査委員長 廣田尚子

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スケジュール

  • 2019年
    4月10日(水)

    テーマ募集開始

  • 6月21日(金)

    テーマ募集締め切り

  • 7月中旬

    テーマ審査(参加企業選定)

  • 8月20日(火)

    テーマ発表&提案募集開始

  • 9月4日(水)

    デザイナー向け
    提案応募説明会

  • 9月中

    テーマ企業への工場見学会

  • 10月27日(日)

    提案募集締め切り

  • 11月上旬

    提案一次審査
    デザイナーからの提案を
    企画書で審査

  • 11月下旬

    提案二次審査
    テーマ選定企業とともに、
    一次審査を通過した提案から
    「テーマ賞」を選定

  • 12月17日(火)

    テーマ賞発表

  • 2020年
    2月5日(水)

    提案最終審査&結果発表
    テーマ賞受賞者による
    公開プレゼンテーション、
    審査

  • 商品化・事業化

審査委員長挨拶

先が読めない今の時代を切り拓くためには、企業にはデザインが必要だという意識が高まる中、昨年デザイン経営宣言が発表されました。デザインが製品開発だけでなく企業の経営構想を築く力になることに、思いを新たにした経営者の方も多いと察しています。東京ビジネスデザインアワードでは、中小企業が活用するデザインは商品に限らずビジネス全体を描く戦略が重要だと提唱してきました。7年前の立ち上げ当初から、その考えに賛同した多くの企業とデザイナーの協業が生まれ、質の高い取り組みに対する社会の関心も年を追うごとに高まってきました。東京ビジネスデザインアワードが行う活動は、デザイン経営宣言の一部分に過ぎませんが、ここで繰り広げられる協業プロセスには、企業の価値を変える深く熱いストーリーと、数字だけにとどまらない素晴らしい成果がたくさんありました。今振り返ると、これまでご参加くださった企業とデザイナーの皆様は、それまでは言語化されていないけれど時代が求めているデザインと経営の要素を、いち早く感じ取ってご応募くださいました。改めて感慨深く感謝しております。

2019年1月に行われた昨年度の最終成果審査会では、完成度の高い提案内容に審査委員一同、驚きと感銘を受けました。当日会場にいた多くの来場者は、デザイナーと企業が一体となってビジョンと戦略を描いているという、確固たるアピールをプレゼンテーションから感じ取られたと思います。受賞チーム全体に目的意識の高まりが溢れていました。ビジネスデザインアワード事務局では、参加される方々の可能性を広げ、満足と質の向上を目指して、毎年新しい取り組みにチャレンジするクリエイティブなマネジメントを実践しています。令和元年となる2019年度も、東京から「心を豊かにする新しいビジネス」が生まれるよう、たくさんのご応募をお待ちしております。

2019年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長    廣田尚子

2019年度
東京ビジネスデザインアワード
審査委員長 廣田尚子

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審査委員会

審査委員長廣田 尚子

デザインディレクター
有限会社ヒロタデザインスタジオ代表

東京藝術大学デザイン科卒業後、GKプランニングアンドデザインを経てヒロタデザインスタジオ設立。プロジェクトマネジメントの視点からデザイン開発を行い、企業の持つ技術や素材の魅力を引き出して拡げる仕事を日用品のデザインを中心に幅広く展開。中小企業との協働も多く、様々な地域でデザイン導入の心構えやプロセスについての講演、アドバイスを行う。女子美術大学芸術学部デザイン学科教授。

金谷 勉

クリエイティブディレクター
有限会社セメントプロデュースデザイン
代表取締役

京都精華大学人文学部卒業後、企画制作会社、広告制作会社を経て1999年「CEMENT PRODUCE DESIGN」設立。商業施設の広告デザイン、フランフラン、アクタスとの商品企画開発、UNIQLO「企業コラボレーションTシャツ」のディレクションなど幅広くデザイン、プロデュース。また起業時より自販流通をはじめ、流通も見据えた形で各地の中小の地域事業者との協業開発事業も行う。京都精華大学、金沢美術工芸大学で講師を務める。

川田 誠一

工学博士
産業技術大学院大学 学長

大阪大学助手、シドニー大学Visiting Scholar、東京都立大学教授、首都大学東京教授などを経て、2006年より産業技術大学院大学 産業技術研究科 研究科長・教授、2016年より同大学学長に就任。感性と機能の統合デザイナーとしてイノベーションをもたらす「ものづくりアーキテクト」の育成に携わる。専門分野は、非線形システムの制御、生産システムのモデリングと最適化、教科学習など機械知能の応用、サービス工学等。

澤田 且成

ブランディングディレクター
アイディーテンジャパン株式会社
代表取締役社長 CEO

大阪府堺市出身。株式会社富士経済、株式会社インターブランドジャパンを経て、2008年アイディーテンジャパン株式会社を設立。新規事業ブランディングの企画立案をはじめ、日本のブランド力を生かしたものづくり・食・伝統・文化・観光の海外需要開拓・販路開拓のマーケティング支援を行う。経済産業省ふるさと名物発掘・連携促進事業副事務局方、JAPANブランドプロデュース支援事業アドバイザー、東京都伝統的工芸品普及促進プロジェクト実務者委員、墨田区ものづくりコラボレーション事業海外販路開拓部門コラボレーター等を歴任。

日髙 一樹

デザイン・知的財産権戦略コンサルタント
日髙国際特許事務所 所長 弁理士

金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業後、通商産業省特許庁入庁。特許庁審査官、通産省デザイン行政室課長補佐(デザイン奨励班長)を経て日高国際特許事務所を設立。商品開発における知的財産権戦略のプロフェッショナルとして活動。「知的財産権と企業経営」「デザインリスクマネジメント」などに関する講演・執筆多数。京都工芸繊維大学特任教授や、金沢美術工芸大学、東京藝術大学大学院などの講師を務める。

南馬越 一義

クリエイティブディレクター
株式会社ビームス ビームス創造研究所
シニアクリエイティブディレクター

1984年株式会社ビームス入社。メンズカジュアルのショップスタッフを経て、「レイ ビームス 渋谷」の店長としてウィメンズ分野でのキャリアをスタートする。「レイ ビームス」レーベルのバイヤーを経て、2004年、ウィメンズ全体のクリエイティブディレクターに就任。ビームス創造研究所の立ち上げに伴い、2010年3月より新規事業の開発に着手。佐賀県、熊本県、東北地域の伝統的なものづくりに現代的な要素を掛け合わせるコラボレーション企画や、「ビーミング ライフストア」「カロリナグレイサー」等ブランドのプロデュースも手がける。