ビジネスは、地図を描く力と信頼を築く力によって実現します。つまりモノのデザインだけでなくビジネス像をデザインすることが大切なのです。ビジネスの開発には二つの場面があります。一つは市場で商品やサービスを販売する商業活動。もう一つは、販売展開の大陸へ辿り着くまでの活動。技術とデザインが商品開発という大海原で共に船を漕ぎ、荒波を乗り越え渡る期間も重要なビジネスです。安全に制覇するには海の地図と陸の地図、二つのロードマップが必要となります。
東京ビジネスデザインアワードでは、デザイン行為はデザイナーだけでなく企業も行うことだと伝えています。この場合のデザインとは、海の地図と陸の地図を描くデザインです。商品開発とは、ものづくりとビジネスづくりを同時に行うことを指しています。開発プロセスの構想は、応募するデザイナーが主導して行うもよし。デザイナーとビジネスディレクターが組んで応募すれば二枚岩で更によし。企業が自分事として、できることから進む道を設計提案すれば、チームに強い信頼が生まれるでしょう。提案をもらうだけとして参加するのではなく、チーム全員が前に進むアクションを起こす。商品開発は、協業の相乗効果なしでは達成できないのです。
過去に成功しているプロジェクトは、開発プロセスに活気と笑顔があります。商業的成功は、開発時に厚い信頼を築き、モノとビジネスを両輪で考える事ができるチームに巡り来る恩恵と考えています。プロセスに醍醐味を抱いて参加してください。
2017年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長
廣田尚子