東京ビジネスデザインアワードは7年目を迎えました。この6年でビジネスの潮流は大きく変わり、課題に対して、モノ・売り方・サービス・コミュニケーションを含めて解決方法を模索するようになりました。そして、ビジネスデザインに対する理解は確実に深まっています。
昨年度受賞したプロジェクトは、とりわけ独自性に富んだ提案が多く、実現の可能性、発展性においても完成度の高さが際立ったと多くの方からお言葉をいただきました。また、応募するクリエーターの専門性が多様化したことで、企業の技術とのマッチング精度が向上しています。コンサルティング・マーケティングの知識を活かした新サービスの提案や、以前より数多く参加してくれているグラフィック・プロダクト系のデザイナーからも専門領域の枠を超えたディレクション型の提案が見られたことが特徴的です。作り方だけでなく売り方にもアイデアを込めたデザイン提案が増えていて、これは本来このアワードが目指すところであり、大変嬉しく感じています。
企業にとって、既存の市場に行き詰まりを見通していても、新しい市場で実績を出すのはとても難しいことです。成功した話題のビジネスモデルは、中小企業が手探りで立ち上げている事例が多く、既存のシステムに寄りかかっていないからこそ、モデル転換の潜在能力を秘めているといえます。しかし達成するにはチャレンジ精神だけではだめで、計画性、実行力、決断力、そしてクリエーターが提案したビジョンを繋げるチームワーク、つまり人間力も加えた複合的な力が求められています。
東京ビジネスデザインアワードでは、市場で実績を出すために、受賞した年だけでなく次年度も含めサポートを行います。今年もビジネス全体にわたり、アイデアと工夫に富んだ構想設計のデザイン提案を期待しています。
2018年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長
廣田尚子