2024年度 開催結果概要

最優秀賞・優秀賞が決定

最優秀賞

提案

リング製本とオンデマンド印刷技術を応用した
未開拓領域への製品提案​

藤井誠(コンセプトプランナー/デザイナー)、山田奈津子(デザインアーキテクト/一級建築士)​
【ディノーム】​

テーマ

リング製本とオンデマンド印刷の
ワンストップ提供体制​

富士リプロ株式会社(千代田区)​

優秀賞

提案

切削加工技術を軸とした事業再創造​

清水覚(ビジネスデザイナー)、井上弘介(デザイナー/中小企業診断士)​

テーマ

金属切削による高精度な軸物加工​

株式会社開工精機製作所(板橋区)​

優秀賞

提案

「伸びる本革ベルト」の技術を活用した
家具ブランドの提案​

佐藤宏樹(プロダクトデザイナー)​
【KOKI SATO STUDIO】

テーマ

ベルトに用いられる伸縮できる​
本革の加工技術​

有限会社長沢ベルト工業(葛飾区)​

実現化に向けて企業と
デザイナーの協業開始

テーマ賞

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提案最終審査 総評

私は審査委員長として4年、審査委員として10年ほどこのアワードに関わらせていただいてますが、今年は、過去一番レベルが高く、非常に僅差で、まさに「横一線」という表現がふさわしかったと思います。実際に、審査委員がそれぞれ付けた点数では差がほぼつかなかったという状況でした。

最優秀賞、優秀賞を受賞した企業とデザイナーの皆さんはもちろん大いに誇るべき成果ですが、テーマ賞を受賞された方々もこの結果に自信を持っていただきたいと思います。一方で、僅差を分けたのは「モノ」に対してのデザインの精度のわずかな差だったのかもしれません。

この10数年間で「モノからコトへ」デザインが移り変わってきましたが、この概念が広がることによって皆さんの「コト」の提案レベルが高くなり、それにより最終的な結果を分けたのがプロダクトデザインとしてのディティールの差だったのではないかと思っています。これは東京ビジネスデザインアワードにとってエポックメイキングな出来事であったのではないでしょうか。だからこそ、来年以降の企業やデザイナーの皆様には、より一層のクオリティが求められることになることに、今から大きな期待を抱いております。

これからがスタートということで、デザイナーと企業それぞれが二人三脚で進めていき、商品化とその先のビジネスとしての結果に繋がることを願っております。

2024年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長    山田 遊

2024年度
東京ビジネスデザインアワード
審査委員長 山田 遊

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スケジュール

  • 2024年
    4月11日(木)

    テーマ募集開始

  • 6月24日(月)

    テーマ募集締め切り

  • 7月上旬

    テーマ審査(参加企業選定)

  • 9月4日(水)

    テーマ発表&デザイン提案募集開始
    募集テーマ一覧はこちら

  • 10月30日(水)

    提案募集締め切り

  • 11月上旬

    提案一次審査
    デザイナーからの提案を
    企画書で審査

  • 11月下旬

    提案二次審査
    テーマ選定企業とともに、
    一次審査を通過した提案から
    「テーマ賞」を選定

  • 2025年
    1月8日(水)

    テーマ賞発表

  • 2月4日(火)

    提案最終審査&結果発表
    テーマ賞受賞者による
    プレゼンテーション、
    審査

  • 商品化・事業化 実現化に向けて協業開始

審査委員長挨拶

2012年に始まった東京ビジネスデザインアワードも、昨年度で干支も一回りし、今年度、13年目となる開催を迎える運びとなりました。

この期間、私たちの生きる世界は過去に類を見ないほどの早さで、流動的に変化を続けてきました。何が正解なのか予測することは非常に困難で、改めて世の中とはとても複雑であることを実感する日々が続いています。

コロナ禍の3年間を経て、日本国内ではいよいよ「働くこと」、さらには「人」にまつわる課題が顕在化する時期に差しかかってきました。物流にまつわる2024年問題、労働力人口の減少が本格的に始まる2025年問題、2030年、40年とこの問題はさらに加速していくことになります。

戦後、高度経済成長期からバブル期までは、主に工業・ものづくりにおける「技術」と、その生産効率に応じた人々の働きが、企業を支えてきました。そして技術では差別化が難しくなった昨今、「デザイン」を経営資産として活用する「デザイン経営」が注目され、国も推進をしています。

企業の経営者が「デザイン」を理解すること、そして、デザイナーが企業の「経営」を理解して、1つのチームとなり新たな事業を興すこと。それこそが東京ビジネスデザインアワードの主眼であり、今年度も変わることはありません。

日本における中小企業の割合は実に99.7%、従業者数も全体の7割を占めます。企業も法人。人格を与えられた組織です。この国の首都であり、また、時代の写し鏡とも言える東京という土地から、人と人とが出会い、双方の複雑さを理解した上で、一体となりともに働くことで、新たな明るい未来を創出する機会となることを、今年も心より願っています。

最後に、私自身は2013年より、途中お休みを挟みながら審査委員を務め、2021年度より審査委員長を拝命しておりましたが、2024年度は、審査を務める最終年度と位置付け、引き続き身に余る大役を務めさせていただきます。委員就任中は、数多くの企業の経営者とデザイナーとの出会いを見届けてきました。最後となる今年も、そんな素晴らしい人と人との出会いを期待しています。

2024年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長    山田 遊

2024年度
東京ビジネスデザインアワード
審査委員長 山田 遊

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審査委員会

審査委員長山田 遊 Yu Yamada

バイヤー|
株式会社メソッド 代表取締役

東京都出身。南青山のIDÉE SHOPのバイヤーを経て、2007年、method(メソッドを立ち上げ、フリーランスのバイヤーとして店舗の立ち上げをはじめ、国内外のモノにまつわる様々な仕事に携わる。現在、株式会社メソッド代表取締役、 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科客員教授、東京ビジネスデザインアワード審査委員長。2013年「別冊Discover Japan 暮らしの専門店」が、エイ出版社より発売。2014年「デザインとセンスで売れる ショップ成功のメソッド」が、誠文堂新光社より発売。

秋山 かおり Kaori Akiyama

プロダクトデザイナー|
STUDIO BYCOLOR

色や素材の持つ力を効果的に活用するデザイン事務所STUDIO BYCOLORを主宰。2002 年千葉大学工学部デザイン工学科卒業、オフィス家具メーカー勤務を経て現在に至る。iF Design Award Gold, German Design Award、DFA アジアデザインGold賞、DIA Top100、グッドデザイン賞受賞、LEXUS NEW TAKUMI PROJECT2016 選出等。千葉大学にて非常勤講師、法政大学デザイン工学部にて兼任講師を務める。

谷口 靖太郎 Seitaro Taniguchi

デザインエンジニア / ディレクター|
Takram

2013年英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修了。昼はデザインを媒介に先端的なテクノロジーを社会実装させる“イノベーションの探求”に務め、夜はDJや植物栽培、プラモデル・ソフビ制作など、カルチャーを狭く深く掘り続けている。主なプロジェクトに「Selforg」「Legmin」「Moon Rover」。受賞歴としてCORE 77 DESIGN AWARDSやグッドデザイン賞などがある。

日髙 一樹 Kazuki Hidaka

特定訴訟代理人・弁理士 /
デザインストラテジスト|
日高国際特許事務所所長

特許庁審査官、通産省課長補佐を経て1990年日高国際特許事務所設立。九州大大学院、芝浦工大、東京理科大、東京芸大等の講師、経産省ブランド戦略委員、特許庁産学連携デザイン契約委員長、グッドデザイン賞審査委員、京都工芸繊維大理事等を歴任。現在、京都工芸繊維大学長顧問・大学院特任教授、金沢美術工芸大講師、グッドデザイン・フェロー等を務める。
「経営と知財戦略」「知財・開発リスクマネジメント」「知財契約」「デザイン思考型ビジネス論」「3Dデータの知財マネジメント」等の講義を行うとともに同観点から多数の企業や公的機関のサポートを行なっている。

坊垣 佳奈 Kana Bogaki

株式会社マクアケ 共同創業者 / 顧問

同志社大学卒業後、2006年に株式会社サイバーエージェントに入社。複数の子会社立ち上げを経験し、2013年株式会社マクアケの創業に共同創業者・取締役として参画。
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」の事業拡大に従事しながら、 全国各地での講演や金融機関・自治体との連携などを通した中小企業・伝統産業の支援など、地方創生にも尽力。
また、サツドラHD(株)の社外取締役やXTalent株式会社の外部アドバイザーにも就任、ACCやForbesなどのクリエイティブ・PRやブランディング関連、スタートアップ・ベンチャー関連賞の審査員も務める。News23やWBS等のニュース番組にてコメンテーター出演。著書に『Makuake式「売れる」の新法則』。

宮崎 晃吉 Mitsuyoshi Miyazaki

建築家|
株式会社HAGISO代表取締役

群馬県前橋市生まれ。2008年東京藝術大学大学院修士課程修了後、磯崎新アトリエ勤務。2011年より独立し建築設計やプロデュースを行うかたわら、2013年より、自社事業として東京・谷中を中心エリアとした築古のアパートや住宅をリノベーションした飲食、宿泊事業を設計および運営している。hanareで2018年グッドデザイン賞金賞受賞/ファイナリスト選出など。

八木 彩 Aya Yagi

アートディレクター /
クリエイティブディレクター|
アレンス株式会社 代表取締役

武蔵野美術大学を卒業後、電通へ入社。2023年に独立し、ブランディングデザインの会社、ARENCEを設立する。現在は、コンセプト開発・商品開発からコミュニケーション設計までを、アートディレクションを軸に、トータルで手掛けている。受賞歴として、NY ADC賞、ADFEST、ACC賞など。著書に、「デザインを、経営のそばに。」(かんき出版)がある。