2015年度 東京ビジネスデザインアワード

2015年度 東京ビジネスデザインアワード 審査委員長挨拶

デザインは形や色を発想する商業の付加価値と捉えられてきましたが、本来のデザインは、複雑な状況から問題を解決してビジョンを生む「本質的な価値」を創造する力を持っています。
東京ビジネスデザインアワードでは商品の意匠だけではなく、用途開発・バリューチェーン・市場へ発信するコミュニケーション・知的財産という一連をトータルに考えてマネージメントすることで、企業の新しい価値をつくる事を目指しています。
アワード創設以来、この考え方は多方面から注目され、今の時代に求められていることを感じます。
デザインが他の分野を横断または連携してトータルソリューションを進めることで、市場に対して価値ある結果を生み出すことができ、企業にとって継続的な成果に繋がると考えます。

東京ビジネスデザインアワードでは、参加いただく多くの中小企業の方々が、質の高い経営姿勢と技術を持ち合わせていることに毎年感銘を受けています。これまで3年の開催で確信することは、開発を成功させる企業に共通する心の柔軟さや視野の広さ・決断力が、本来のデザイン価値を認識している先進的なデザイナーと響き合い相乗効果を作ることで、魅力あるビジネスを生むのだということです。
東京ビジネスデザインアワードでは、継続的で質の高い成果を生むため、受賞後1年間をサポートする体制で今年も皆様の応募をお待ちしています。 2015年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長
廣田尚子

2015年度 東京ビジネスデザインアワード 審査委員会

審査委員長 廣田 尚子
プロダクトデザイナー / 有限会社ヒロタデザインスタジオ 代表
川田 誠一
工学博士 / 産業技術大学院大学 産業技術研究科長・教授
服部 滋樹
デザイナー・クリエイティブディレクター / デコラティブモードナンバースリー 代表取締役
日高 一樹
デザイン・知的財産権戦略コンサルタント / 日高国際特許事務所 所長 弁理士
山田 遊
バイヤー・クリエイティブディレクター / 株式会社method 代表

2015年度 東京ビジネスデザインアワード 審査方法

審査方法
テーマ・提案ともに実現性や、市場性などについて、多角的視点から評価・選定します。

テーマ審査
企業からのテーマ内容を書類審査
提案一次審査
デザイナーからの提案を企画書で書類審査
提案二次審査
テーマ選定企業とともに、
一次審査を通過した提案から「テーマ賞」を評価選定
提案最終審査
「テーマ賞」受賞デザイナーによる公開プレゼンテーション
「最優秀賞」「優秀賞」を評価選定

2015年度 東京ビジネスデザインアワード スケジュール

スケジュール

2015年 4月16日(木)
概要発表・テーマ募集開始
企業からテーマを募集
6月2日(火)
13:30~15:00
企業向け テーマ応募説明会
インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターにて
(東京都港区赤坂9-7-1ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ内)
6月23日(火)
テーマ募集締切
締切日までに必着
6月下旬
テーマ審査
企業からのテーマ内容を書類審査
8月12日(水)
テーマ発表・提案募集開始
9月2日(水)、3日(木)
19:00~21:00
デザイナー向け 提案応募説明会
9月中旬
工場見学
10月30日(金)
提案募集締切
締切日までに必着
10月下旬
提案一次審査
デザイナーからの提案を企画書で書類審査
11月上旬
提案二次審査
テーマ選定企業とともに、一次審査を通過した提案から「テーマ賞」を評価選定
12月中旬
テーマ賞発表
ウェブサイト等にて発表
2016年1月27日(水)
提案最終審査・結果発表
「テーマ賞」受賞デザイナーによる公開プレゼンテーション、審査、結果発表・表彰式
東京ミッドタウン•カンファレンスRoom7にて
(東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー4F)

2015年度 東京ビジネスデザインアワード テーマ一覧

デザイナーとの協働を目指す東京都内中小企業からの公募により、
2015年度は13の「テーマ」が選出されました。

1 キャンドルの製造で培った “ワックス成形技術” 佐藤油脂工業株式会社(荒川区)
2 箔押し技術を使った “やわらかメタルシート” 株式会社村田金箔(文京区)
3 永久磁石をシリコンで包み込む
“シリコンラバーマグネット”
株式会社マグエバー(渋谷区)
4 錫合金エテナを用いた “鏡面仕上げと凸模様の表現技術” 株式会社アートランド(荒川区)
5 高輝度反射材を使った “高精細レーザープリント技術” 八欧産業株式会社(杉並区)
6 製本と針金加工を組み合わせた “アイレット中綴じ技術” 株式会社ウキマ(板橋区)
7 素材を選ばず光沢あるメッキ面を形成する “銀鏡塗装技術” 株式会社アルファ・レシオ(昭島市)
8 油圧部品の製造で培った “丸棒精密機械加工技術” 株式会社大和精機製作所(武蔵村山市)
9 スプリングバック方式を利用してカシメる
“アルミの精密加工技術”
株式会社丸三電機(千代田区)
10 精密バネ製造で培った “ワイヤー加工技術” 東栄バネ株式会社(中央区)
11 曲げ、穴あけ、溶接、塗装まで一貫生産の
“パイプ曲げ技術と板金加工技術”
筑波鉄工株式会社(大田区)
12 羽がないのに撹拌できる “遠心式撹拌技術” 株式会社IPMS(港区)
13 デマンドレスポンス対応型の
“家庭向けエネルギー管理システム”
地域エネルギー株式会社(港区)

2015年度 東京ビジネスデザインアワード 受賞発表

テーマ:
デマンドレスポンス対応型の
“家庭向けエネルギー管理システム”
地域エネルギー株式会社(港区)

【テーマ賞】

家庭のエネルギーを管理する総合的なIoT機器

山岸 隼人(プロダクトデザイナー)
【株式会社HYT-DESIGN】

※審査の結果、以下のテーマは「該当なし」となりました。
テーマ2:箔押し技術を使った“やわらかメタルシート” / 株式会社村田金箔(文京区)
テーマ7:素材を選ばず光沢あるメッキ面を形成する“銀鏡塗装技術” / 株式会社アルファ・レシオ(昭島市)
テーマ11:曲げ、穴あけ、溶接、塗装まで一貫生産の“パイプ曲げ技術と板金加工技術” / 筑波鉄工株式会社(大田区)

2015年度 東京ビジネスデザインアワード 提案最終審査 総評

いまや、デザインはものづくりだけでなく、ビジネスそのものをつくっていくということが認識されはじめ、市場の中での役割が大きく拡がっています。
今回の東京ビジネスデザインアワード最終提案では、東京の中小企業の技術ポテンシャルの高さに改めて驚かされました。その技術力にデザインを掛け合わせることで、大きな推進力を生み出すのがこのアワードです。
今年はこれまでよりさらにレベルの高い提案最終審査会でした。市場性、デザイン性、実現性、ビジネスモデルの完成度などの視点から総合点で最優秀賞、優秀賞を選びました。
これからはデザイナーが企業を牽引し、推進力となるマネジメント、「協業力」が非常に大事になってくると思います。
今回マッチングされた企業とデザイナーにとっては今日がスタートです。製品化に向けて次の開発フェーズに進んでいただきますが、テーマ企業の方々も新たな覚悟を持って舟を漕いでいただきたいと思います。 審査委員長 廣田 尚子