2018年度 東京ビジネスデザインアワード

2018年度 東京ビジネスデザインアワード 審査委員長挨拶

東京ビジネスデザインアワードは7年目を迎えました。この6年でビジネスの潮流は大きく変わり、課題に対して、モノ・売り方・サービス・コミュニケーションを含めて解決方法を模索するようになりました。そして、ビジネスデザインに対する理解は確実に深まっています。

昨年度受賞したプロジェクトは、とりわけ独自性に富んだ提案が多く、実現の可能性、発展性においても完成度の高さが際立ったと多くの方からお言葉をいただきました。また、応募するクリエーターの専門性が多様化したことで、企業の技術とのマッチング精度が向上しています。コンサルティング・マーケティングの知識を活かした新サービスの提案や、以前より数多く参加してくれているグラフィック・プロダクト系のデザイナーからも専門領域の枠を超えたディレクション型の提案が見られたことが特徴的です。作り方だけでなく売り方にもアイデアを込めたデザイン提案が増えていて、これは本来このアワードが目指すところであり、大変嬉しく感じています。

企業にとって、既存の市場に行き詰まりを見通していても、新しい市場で実績を出すのはとても難しいことです。成功した話題のビジネスモデルは、中小企業が手探りで立ち上げている事例が多く、既存のシステムに寄りかかっていないからこそ、モデル転換の潜在能力を秘めているといえます。しかし達成するにはチャレンジ精神だけではだめで、計画性、実行力、決断力、そしてクリエーターが提案したビジョンを繋げるチームワーク、つまり人間力も加えた複合的な力が求められています。

東京ビジネスデザインアワードでは、市場で実績を出すために、受賞した年だけでなく次年度も含めサポートを行います。今年もビジネス全体にわたり、アイデアと工夫に富んだ構想設計のデザイン提案を期待しています。 2018年度 東京ビジネスデザインアワード審査委員長
廣田尚子

2018年度 東京ビジネスデザインアワード 審査委員会

審査委員長 廣田 尚子
プロダクトデザイナー
有限会社ヒロタデザインスタジオ 代表
金谷 勉
クリエイティブディレクター
有限会社セメントプロデュースデザイン 代表取締役
川田 誠一
工学博士
産業技術大学院大学 学長
澤田 且成
ブランディングディレクター
アイディーテンジャパン株式会社 代表取締役社長 CEO
日髙 一樹
デザイン・知的財産権戦略コンサルタント
日高国際特許事務所 所長 弁理士
南馬越 一義
クリエイティブディレクター
株式会社ビームス ビームス創造研究所 シニアクリエイティブディレクター

2018年度 東京ビジネスデザインアワード 審査方法

審査方法
テーマ・提案ともに実現性や、市場性などについて、多角的視点から評価・選定します。

テーマ審査
企業からのテーマ内容を書類審査
提案一次審査
デザイナーからの提案を企画書で書類審査
提案二次審査
テーマ選定企業とともに、
一次審査を通過した提案から「テーマ賞」を評価選定
提案最終審査
「テーマ賞」受賞デザイナーによる公開プレゼンテーション
「最優秀賞」「優秀賞」を評価選定

2018年度 東京ビジネスデザインアワード スケジュール

スケジュール

2018年 4月19日(木)
概要発表・テーマ募集開始
企業からテーマを募集
5月24日(木)
15:00~16:00
企業向け テーマ応募説明会
インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターにて
(東京都港区赤坂9-7-1ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ内)
6月27日(水)
テーマ募集締切
締切日までに必着
7月中旬
テーマ審査
企業からのテーマ内容を書類審査
8月16日(木)
テーマ発表・提案募集開始
9月4日(月)
17:00〜19:00
デザイナー向け 提案応募説明会
9月中
工場見学
10月25日(木)
提案募集締切
締切日までに必着
11月中旬
提案一次審査
デザイナーからの提案を企画書で書類審査
11月下旬
提案二次審査
テーマ選定企業とともに、一次審査を通過した提案から「テーマ賞」を評価選定
12月13日(木)
テーマ賞発表
ウェブサイト等にて発表
2019年1月31日(木)
提案最終審査・結果発表
「テーマ賞」受賞デザイナーによる公開プレゼンテーション、審査、結果発表・表彰式
東京ミッドタウン•カンファレンスRoom7にて
(東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー4F)

2018年度 東京ビジネスデザインアワード テーマ一覧

2018年度 東京ビジネスデザインアワード 受賞発表

2018年度 東京ビジネスデザインアワード 提案最終審査 総評

今回の8つの提案は、以前の提案と比較しても過去最高のクオリティで、甲乙つけがたい素晴らしいものばかりでした。そのため最優秀賞の選定も大変難航しました。

最優秀賞の、「 『立体視・金属調印刷物』を唯一無二の素材にするための事業提案」は、透明樹脂素材を立体的かつ本物の金属に見せる印刷技術を用いたBtoCのプロダクト制作を行いつつ、技光堂の本業であるBtoBのOEM事業の価値向上を目指す内容で、ビジネス提案を多面的にした点が大きく評価されました。東京ビジネスデザインアワードでは、新ビジネス創出により、本業がより一層強くなるようなビジネスモデル構築を目標としており、これはその王道モデルといえるでしょう。また、優秀賞の中の「香りの魅力を楽しく学ぶプロダクトの提案」は、世界でも例を見ない、全く新しい市場とそれに合わせたプロダクトを作った点が評価されました。絵具というスタイルで、自分で香りを調合して香りのしくみを学ぶことのできるという画期的なプロダクトは、他にはない、際立つ存在感を放っていました。この2つの提案は全く異なるタイプのビジネスモデルでしたが、それぞれに素晴らしい魅力と可能性を秘めていると思われました。

また、今回、チームワークが非常に良い印象でしたが、それは事務局の方で新たにワークショップを企画したことが功を奏したように思えます。企業とデザイナーが将来の目標ややるべきことについて語り合う時間を設けた結果、チーム力が高まり、提案の質も上がりました。今後は、提案やビジネス化へ至るプロセスの部分も研究を重ねていきたいと考えています。今回のアワードを通じ、改めて東京の企業の持つポテンシャルの高さ、中小企業がデザインとマッチングして出会うことでビジネスの新たな可能性が広がっていくということをリアルに感じていただけたと思います。 審査委員長 廣田 尚子