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チタンやシリコンの電極を使い対象物に放電処理によるコーティングをする被膜形成技術

アートビーム有限会社

アピールポイント

● 耐久性、耐摩耗性を向上させることができるチタンコーティング。
● 耐食性、耐エロ―ジョン性を向上させることができるシリコンコーティング。
● 精密金属部品を製造しているので金属加工の技術が優れている。

テーマとなる技術や素材について悩んでいること

● 面積により加工時間が大幅に変わるため、広範囲の加工に向いていない。
● 材料費(電極)と加工時間の人件費で費用がかかる。
● 問い合わせが来ても費用と手間で判断され実用までは至らない。

テーマ概要

試作品に特化した精密部品の製造を30年以上続け、培ってきたノウハウと技術により造り出される高精度な製品は、多くの取引先から評価を得ています。また、自社研究開発施設を保有し、素材や加工技術の研究開発にも力を入れています。三菱電機社とIHI社の研究開発により確立された被膜形成技術ですが、三菱電機社の研究所と提携があった弊社に専属委託の話があり、設備投資を行い今に至ります。
弊社のコーティング技術は、加工油の中で処理を行い、電極と対象物の間に放電を発生させ、溶けた電極が対象物に移行し被膜を形成します。局部的には高温になっていますが、全体的には常温のまま処理が進行するので熱による変形もなく、高い密着力がある今までにない技術です。

特許・受賞歴・実績・クチコミ

本テーマの被膜形成技術の特許は三菱電機社とIHI社が保有していますが、弊社は使用許可を得ています。
・2006年 ミクロン加工を可能にする超微細放電加工機と技術「多摩ブルー・グリーン賞」技術・製品部門 優秀賞受賞
・2009年 経済産業省「明日の日本を支える元気な中小企業300社」選出

Q.自社ならではの強み、他社との違いは?

放電処理による被膜形成技術を可能にしている装置は、国内に数台しか出回っていません。金属加工技術も同業他社では取り扱えない難易度の高い案件を、超微細放電加工機のような特殊な設備と蓄積されたノウハウ・技術で取り扱っています。また、研究開発にも力を入れ、金属素材、表面処理、加工技術の研究開発を行い、機械(マシニング)・電子(エレクトロニクス)・化学(ケミカル)の融合する新技術の確立を目指しています。

Q.いま抱えている課題は?目指していることは?

試作板金業も安く、早くが求められ設備を更新し続けることのできない企業は、どれだけ優れた技術を持っていても、企業存続の危機に立たされています。相見積もりでの価格競争に加え、高騰し続ける材料費や光熱費で利益を生み出すのが困難な状況です。弊社の誇る高い技術力と特殊な設備を掛け合わせた製品開発が、新たな分野への進出のきっかけになると考えていますが、受注生産のみを長年続けていたため、デザイン力、販売ツールなどの課題が問題は多くあります。

Q.提案に期待していることは?

試作品に特化した既存事業はメーカーの商品開発に仕事量が大きく左右され、月ごとの売り上げもそれに伴い変動します。本アワードにより自社オリジナル製品を製造できるようになれば、仕事量の落ち込んだ際に製造を行うことが可能であり、仕事量、売り上げの安定化を計れるものと考えています。本テーマ技術は刃物への適用とその効果は確認されているため、ハサミやカミソリなどに活用し理容学校などで扱う刃物の研磨、交換回数の削減に貢献できればと考えています。

Q.デザイナーとの協業に期待していることは?

この被膜形成技術は確かなものだと思っていますが、必要としている方に知ってもらえる機会が少ないです。また受注生産のみでしたので自社オリジナル製品を生み出すデザイン力や販売ツールがありません。この技術を用いた商品が世に出ることで、技術をより多くの方に知っていただきたいと考えています。このアワードをきっかけに企業として成長し、従業員の向上心にもつながり、それにより会社をさらに成長させることができると考えています。

アートビーム有限会社(八王子市)

平成元年4月に設立した弊社の創業者は、国内にまだ広まっていなかった炭酸ガスレーザ加工機の立ち上げに携わり、溶接への応用も発見。試作板金業界にいち早くレーザ加工機を取り入れました。また大学と民間企業が共同開発した超微細放電加工機を技術継承し、さらなる高度化を成功させ、その技術はNASAや造幣局にも使用された実績があります。培ってきた確かな技術力と研究開発で、新しいことへ挑戦し続ける会社です。

https://www.artbeam.co.jp

社風

試作品に特化しているので、毎回違う形状でその都度、加工方法も変え対応しなければなりません。工夫し、相談し合い、常に技術の向上を目指しています。以前は技術を持つベテラン従業員がほとんどでしたが、最近では従業員のご子息や、若手社員の友人などが入社し、ベテラン社員から若手への技術の継承が行われています。

自社製品・技術を通して、または企業として、社会で果たすべき使命(ミッション)や提供する価値など

創業当初から「夢で始まり、技術を極め、社会に貢献する」を掲げ、技術の向上は社会に役立つものだと考えてきました。本テーマ技術も使い捨ての時代からモノを永く大切に使う時代へ移行している今、必要とされるものだと考えています。

今後の夢や目標、将来構想など

これまでの弊社の強みはメーカー企業の要望に高度な技術でお応えすることでしたが、高度な技術を用いた自社商品を製造販売できることを強みのひとつに加え、多くの方に弊社の技術を手に取り、知っていただきたいと思っています。

テーマ企業プレゼンテーション

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