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金属板の自由自在な加工技術と高速な試作体制

磯村産業株式会社【飾区】

テーマ概要

保有する金属加工の技術により、板厚0.05㎜~12㎜という非常に薄い金属板の精密な加工を行うことができる。取り扱い素材は、ステンレス、アルミ、鉄、銅、真鍮、チタンと多岐にわたり、複雑な形状の外形切断や金属板をカーブさせて滑らかな曲線を作るR曲げなどの多種多様な加工にも対応している。これらの技術は、医療用サポーターやロボット部品などに用いられている。当社は、最新式の機械設備を複数台導入していることに加えて、業界歴30年を超える熟練の職人が多数在籍している。さらに、溶接、表面着色などの協力会社とも連携体制が整っている。そのため、精度の高い加工の実現と、速い速度で試作品の開発・製造を行うことができる。そうした加工精度および多品種・小ロットでの製造、短納期対応は、当社独自の強みとなっている。

テーマのアピールポイント

● 薄く強度の高い金属板を材料とした、自由度の高い加工技術を保有。
● 金属板をIllustratorのパスデータ通りに精密にレーザー切断できる。
● アイデアのイメージさえあれば、職人がゼロから加工用の図面作成も可能。

テーマとなる技術や素材についての課題や悩み

● 金属板は耐久性に優れているが、木材や樹脂と比較し、無機質でデザイン性に劣る部分あり。
● 企業向け製品がほとんどで、一般消費者向けの製品制作はこれまでに経験がない。
● 一般消費者向けのブランディングや認知もゼロからのスタート。

提案やマッチングに期待することや、
理想とする展開例があれば教えてください。

これまで基本的には、BtoB製品の受託製造であり、当社の業績は主要な顧客企業の状況に左右されることが多かった。今回の取り組みを契機に、BtoC製品の自社製造と販売を新規事業として行うことで、顧客企業からの下請け体質を脱却し、製造元として自社ブランドの強化を実現したい。
過去、結婚式のウェルカムボードや小売店の看板、栞、歯ブラシ立てなど、一般消費者向けに特注製作した実績がある。また、迅速な試作製作が可能で新商品の開発環境も整っているほか、HP制作・広告運用も自社内で実行できるため、製造した新商品はデジタルマーケティングで販売することを想定している。社員一同、本事業に対して強い熱意を持っており、全社でバックアップする体制が整っている。具体的には以下のような市場を狙っている。耐久性のある暮らしの製品、アウトドア用品、大人向け玩具など(市場調査前)。製作するサイズは、最小でアクセサリーパーツ程度、最大でバーベキューコンロ程度を想定している。

企業情報

磯村産業株式会社(葛飾区)

1952年の創業以来、70年以上にわたって東京都葛飾区を拠点として金属加工を専門に受託製造を行っている。当社の強みは、高い加工精度および多品種・小ロットでの製造、短納期である。また、当社内でゼロから図面を起こして製品開発及び製造が可能である。そのため、ゼロから図面を起こして試作品を製造し、すぐに改善を行うという高速PDCAを回すことができるので、顧客から取引先として多くの指名を頂いている。

https://isomura-s.co.jp/

回答者 神戸 広豊さん

社風について教えてください。

20代から60代まで幅広い年齢層の社員が在籍しており、風通し良く誰もが自由に意見を発信できる環境。社員数は9名と小規模ながら、ベテランと若手が一丸となって、目標に向かって取り組んでいる。直近でもデジタルマーケティングや新しい機械の導入など、積極的なチャレンジを行っており、新しいアイデアを採択する挑戦的な土壌がある。

自社ならではの強み、
他社との違いは何ですか?

金属板の高度な精密加工技術を用いた試作開発型、多品種・小ロット、短納期、非金属素材とのハイブリッド製品のビジネスで高付加価値を生み出して他社との差別化を行っている。また、最新の図面管理ツールを導入し、職人の経験や勘に頼りがちだった分野をデジタル上で管理している。20代の若手の採用と育成にも力を入れ、技術継承に努めているほか、リスティング広告をインハウス運用するなど、デジタルマーケティングにも力を入れている。

現状社内で抱えている、本テーマ以外の課題や悩みはありますか?

当社を含む金属加工業界全体の課題であるが、国内自動車・電機メーカーの海外生産比率増大に伴い、コモディティ化した価格競争型のビジネスは厳しい競争環境に直面している。また、多くの企業で職人の高齢化が進行し、技術継承とIT化への対応が課題となっている。そうした環境下で、今後は他社との差別化が可能な対応力(技術力や社外ネットワークとの連携)の増強と、クリエイティビティを生かした商品開発、先進的なマーケティング戦略がますます重要になっていくと思われる。

自社製品・技術を通して、または企業として、社会で果たすべき役割や使命は何ですか?

日本の町工場が持つ熟練職人の技術を先進的なテクノロジーと融合させることで、ものづくりの新たな可能性を示したい。また、ものづくり自体の楽しさや可能性を広く知らしめることで、日本のものづくり再興の起点となりたい。

今後の夢や目標、構想していることがあれば教えてください。

磯村産業が持つ高度な技術と専門家のデザインを組み合わせた新たな自社ブランドを立ち上げて、事業の2つ目の柱として成長・拡大させたい。これにより、町工場が中心となった新たなモデルケースを作り上げて、ものづくり全体の盛り上がりを創出したい。

テーマやテーマ企業についてのキーワードデザイン提案を検討するにあたり、ぜひ情報収集にお役立てください。

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