「リング製本」とは穴を開けてリングで綴じる製本形式です。360°開き、上下左右様々な方向でつなぐことができます。他の製本形式と比べると、可動域が広く、機能性が高いのが特徴です。リングは鉄にナイロン加工をした「ダブルリング」と手で開閉可能な「エコリング」があり、カラーバリエーションは20色ほど。サイズは10~15mmのものが一般的で、その場合、5~12mmの厚さまで製本可能です。主にカレンダーや手帳、ノートなどで利用されることが多く、特に卓上カレンダーは企業のノベルティなど一定の需要があります。しかし、時期が限定され、一年を通して安定した受注につながらないのが課題です。また、製本のみを専門とする会社が多いため、新しい発想が生み出されにくいという点も。弊社は総合印刷会社でありながら、社内で一貫したリング製本が可能であり、特色の印刷が可能なオンデマンド印刷機などもあるため、新規製品を試作する体制は整っています。
● 360°開くことができ、上下左右、様々な方向でつなげることができる。
● 製本対象は、紙以外にプラスチックなども所定の厚さの範囲内(2mm)なら利用できる。
● 社内で一貫した生産設備を持ち、試作を行いやすい環境がある。
● 利用法が似通ったものばかりで差別化しにくいため、価格や納期が判断基準になる。
● 従来のカレンダーや手帳といった商品は製作時期が限られ(8〜12月が繁忙期)、機械の稼働が安定しない。
● 新規事業のノウハウがなく、ニーズの探し方やターゲット層の決め方が分からない。
期待することは、リング製本の機能性とデザインを組み合わせた新しい商品が提案されることです。今までになかった発想でリングを付けた商品を世に出したいです。その商品がカレンダーや手帳のように、時期が限定されるものでなく、一年中機械を稼働させられるものなら、なお良いです。商品が世間に認知され、富士リプロが特殊なリング製本ができる会社として有名になり、価格や納期で勝負せず選ばれる会社になるのが理想です。現時点で市場やターゲットを具体的に絞れていないので、生み出されるものによって、新しい市場の開拓だけでなく、既存顧客への提案なども出来たら良いと考えています。提案内容については個人向け、法人向けなどの指定はありませんが、概念的なプロダクトではなく、形になった商品としてご提案いただきたいと思います。
企業情報
1979年に内神田で複写や図面の青焼きなどを主な業務として創業。軽オフセット機の導入をきっかけに印刷業へ進出した後、2000年頃には業界に先駆けてデジタル印刷機を導入、オンデマンド印刷に着手し、それまでは大型の印刷機以外では出来なかった「丸背上製本」のオンデマンド出力を製品化しました。リング製本もグッズやノベルティとして今ほど一般化していなかった10年ほど前から参入しています。それほど規模の大きな会社ではないものの、新しい技術を一早く導入し、新しい市場を開拓することによって、40年以上成長を続けてきました。現在は60名ほどの社員が在籍しています。書籍やテキスト関係の売り上げが3/4を占め、特に国文学系の専門図書の組版や、復刻本の製作などの分野で実績を積んできました。
https://www.fujirepro.co.jp/
2021年 令和2年度ジャグラ作品展 出版印刷部門 全国中小企業団体中央会会長賞 (日本産蚊全種検索図鑑)
2024年3月 FSC®森林認証を取得
回答者 飯島 隆介さん
20~70代の幅広い年代の社員がおり、静かで落ち着いた雰囲気の会社です。定年後の再雇用が盛んで、それぞれの状況に合わせた働き方で頑張っています。業務には誠実に取り組み、品質や納期については高い意識を持って臨んでいます。任された仕事はキッチリこなす一方で、主体性やコミュニケーションに欠ける面があり、もっと自身の意見を発信して欲しいと感じることもあります。
強みは神田の本社と浅草の工場で実際に製作できる設備があり、立地と設備の両方を備えている点です。制作、印刷、製本、発送とワンストップで行う様子を実際に見学も可能なので、安心してお任せいただけます。特に小ロットからでも完全オーダーメイドで製作可能なのは、リング製本では大きな強みです。リング製本用の設備に加えて、白・クリア・金銀の特色印刷が可能なオンデマンド印刷機や、PP加工や角丸の機械もあるため、様々な印刷表現を行うことができます。社内で出来ない加工についても、今までの業務の中で構築してきた協力会社との関係を活かして行うことが可能です。
今まで受注産業だった故に「依頼されたことをやる」という気質が強い点です。紙の需要が減少している中で、新しい製品を自社内から生み出すという風土の醸成が必要だと感じています。アワードをきっかけに、自社から発信できる会社になり、社員一人ひとりが積極的に行動できるように変わっていけたら良いなと考えています。
企業として社会で果たすべき役割は、印刷を通じて文化や技術の継承に貢献し、地域や業界を盛り立てていくことです。そのためにも、デジタルの時代に紙の価値を追求し、本当に価値のある印刷物を提供したいと考えています。
新しいリング製本の使い方の第一人者になり、富士リプロの代名詞となるような商品を生み出したいです。新規営業のノウハウの少ない弊社でも自信を持って提案できる商品があれば、動きやすくなります。何か特殊なことができる会社として、富士リプロがクライアントに選ばれるようになれば嬉しいです。
リング製本、カレンダー、ノート、オンデマンド印刷、スペシャルトナー、神田、浅草、千代田区、中小企業、デザイナー、東京都、TBDA、東京ビジネスデザインアワード、デザイン、ビジネスデザイン、デザイン経営、ブランディング、新規用途開発、事業承継、日本のものづくり、ものづくり、BtoB、BtoC、自社ブランド、自社製品、パーパス