● 木粉等のバイオマス粉を30~40%含む、海水で生分解するプラスチック材料「Biofade」。*生分解性とはバクテリア微生物がマイクロプラスチックを残さず分解してしまう機能のこと。海水で生分解するプラスチック材料は稀少。食べ残しや土壌ではさらに早く生分解が進む。● 成形は射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、回転成形が可能。
● サステナブル商品であることを理解されやすい、木粉等のバイオマスが確認できる素材外見。
海のプラスチックごみ問題は年々深刻化しており、日本からも年間2~6万トンが流出しています。プラごみは、やがて砕かれてマイクロプラスチックに微細化され、有害物質を吸着し生物循環によりやがて人間に達すると言われています。解決には、陸上での廃棄プラスチック管理が重要であるものの、海水で生分解性を持つプラスチック材料を使用する方法が挙げられます。しかしその材料は稀少であり、応用は進んでいません。
「Biofade」は植物由来の生分解性プラスチックを基材に、木粉やでんぷん等の植物バイオマス粉を30~40%混ぜることによって、海水で生分解が可能となります。また、燃やしたときのCO2発生を大幅に削減できカーボンニュートラルの特長も有するため、温暖化ガス低減にも同時に寄与できます。
・商標登録「Biofade」
BIOMASS(生物資源)とFADE(消えていく)の造語で生分解性を意味付ける。
・特許第6944669号「食器用器具・容器包装」
Biofadeを用いた食器・食品容器
・特許弟7030315号「海洋資材」
Biofadeを用いた漁具・養殖具等
・出願2021-161435「海洋生分解性樹脂組成物」
(審査未請求)
複合材の組成に関して、樹脂メーカーの場合は自社開発樹脂を主体に使用することになりますが、我々ベンチャー企業の場合は、樹脂種にとらわれずに、さらにバイオマスも自由に選択でき、生分解速度や物性をめざした組成設計が可能です。弊社の従来技術であるバイオマス複合プラスチック「i-WPC」をもとに、東京都立産業技術研究センターと共同開発しました。
材料価格が最も大きな課題です。現在のペレット材料価格は2,000円/kg以上で、量産スケールアップにより数100~1,000円の価格帯は可能とみますが、さらに国や自治体からの助成や法律・制度面からのバックアップが必要と感じています。
用途・実用製品化でデザイナーの知恵をお借りしたい。SDGsとタイアップした話題性のある環境商品のアイデア・デザインによって、この材料を広く知ってもらい使ってもらうことで生産量を増やし、使いやすい材料価格まで持っていけたらよいと思います。
アウトドアで使う釣り・キャンプ・レジャー用品や海・山で使用するデザイン性の高い実用器具や、漁具や養殖具のプロ・ニッチ用途も考えられます。
生分解性という話題性のある機能重視のアイテムや、屋外環境で使い込んだり、放置して生分解させ変化を楽しむアイデアなども面白いのではないでしょうか。(欧米ではファッションやコスメブランドが好んで、自然調和型素材を採用しているとのこと。)
プラスチックの自由成形性と天然素材・環境素材の融合が、企画コンセプトとなればよいと思います。デザイナーのアイデアを通じてこんなプラスチックがあるのだということをSDGs世代の若者に届けたいと考えています。その後は環境社会のニーズが引っ張ってくれることを期待しています。
大手石油・化学メーカーで事業開発をしていた2名が、ヨーロッパで興った「バイオマスエコノミー」に共感し、10年20年後には石油に頼る材料はいずれ行き詰まるだろうとの考えから、2016年創業。当初から現在も日本に豊富にある木粉等の様々なバイオマス粉体と、ポリマーを複合化したバイオマス複合プラスチック「i-WPC」事業を中心に置いています。
https://www.i-compology.com
恥ずかしながら当社の2名ともシルバーですが、日本の未来を自分で考え自分の手を使って切り拓きたいという志を持っています。人が中心、自由な発想が大切だと考えます。できれば理念に共感してもらえる志のある若者や企業に、将来の技術を託したいとも思っています。
・技術者としては、次の世代に残せる技術やモノを創ること。
・会社としては、「Going Concern」継続すること。
・人としては、世の中で自由に考え動けるヒトを育てること。
まずは体と頭が動くまで元気で働くこと。まだまだ健康なのでやれるだけやりたいと考えています。
そして、次を託せるヒト・企業と巡り合い、育て、いずれはそのヒト・企業自身がリーダーシップを発揮し、持続社会を目指して活躍できる後押しができたらと考えています。
審査委員よりコメント
社会課題に対する取り組みの性格も併せ持つ「素材」がテーマだ。他社との協業経験も豊富な企業なので、素材を生かした製品だけではなくビジネスデザインの提案も見てみたい。環境課題と技術の理解が提案の鍵となる。