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さとうきびの搾りかすから生まれた
「サスティナブル素材」

株式会社Rinnovation

アピールポイント

● さとうきびの未利用資源「バガス」をアップサイクルしたエシカルな生地。
● 和紙糸の特長が生かされた、軽くてさらっとした肌触り。
● 沖縄、サスティナブル、アパレル等様々な文脈でのコラボレーションの可能性。

テーマ概要

「さとうきびのある沖縄の原風景を残したい」という思いからはじまった取り組み。沖縄のさとうきび産業が抱える、後継者不足や収益性の低さという課題、「大量生産・大量廃棄」のサイクルから脱却できていないアパレル産業が抱える環境負荷の課題。これらに対し、世界最大の農作物であるさとうきびを原材料に、サスティナブルな繊維や生地へとアップサイクルすることが、世界規模で重要な取り組みになると可能性を感じ、さとうきびの搾りかすで、未利用資源である「バガス」を原材料とした素材を開発。日本の伝統的なものづくりの技術を独自に掛け合わせ、バガスからパウダー化、和紙、スリットの工程を経て和紙糸を生成し、その和紙糸とcotton USAで生地を織布している。

特許・受賞歴・実績・クチコミ

特許:紙糸、紙布及び布製品(特許第6570101号)
2019年「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー 地方創生賞」受賞、「オキナワスタートアッププログラム」採択
2021年「CHOICE! ZERO WASTE AWARD」認定

Q.自社ならではの強み、他社との違いは?

紙を細く裁断して撚りをかけて糸にした紙糸は、環境にも人にも優しい素材として近年注目されている。私達のバガス和紙糸には、今まで廃棄されることの多かった未利用資源を含んでいるという点から、既存の紙糸と比較して優れていると考えている。また、和紙糸で織った生地は独特な光沢感があり、高い吸湿保温性やさらっとした肌触り、独特な経年変化、消臭効果が認められている等、バガスの活用や和紙への加工が良い特長となって表れている。

Q.いま抱えている課題は?目指していることは?

現在この「バガス」を利用して展開中のブランドには専属のデザイナーがおらず、社内や知人からのアイディア、他社からの依頼ベースで商品づくりを行っており、プロのデザイナーの視点を加えた商品開発ができていない点が課題。今後、沖縄への旅行者がコロナ前の水準に戻ることが予想される中で、コンセプトやストーリーだけに偏るのではなく、商品としてのデザイン性や利便性も追求し、消費者と地球環境にとって魅力的な商品づくりを目指している。

Q.提案に期待していることは?

販売した後の製品にも責任を持ち、可能な限り廃棄を生まないビジネスモデルを目指している。そのため、製品が使用された後に回収をして、他の製品にリメイクしたり、最終的には廃棄ではなく炭化をし、生成された炭を土壌改良材としてさとうきび農家に成形木炭として製糖工場にそれぞれ還元することを予定している。製品のデザイン性は勿論だが、使用後のことも考えられたデザインを期待している。

Q.デザイナーとの協業に期待していることは?

沖縄の伝統文化や他企業とのコラボレーション、さとうきび生産大国であるタイや、リゾートという共通項のあるハワイ、サスティナビリティ先進国のオランダをはじめとする、世界とのコラボレーションなど、スケールアップが期待できる様々な可能性があると考えている。世界的なSDGsへの関心の高まりも追い風となり、今後ますます私達の素材への関心や需要は高まると考えられ、伸びしろが大いにあるブランドだと認識している。将来性のあるアイディアを期待したい。

審査委員よりコメント

未利用資源である「バガス」はエシカルで生地としても肌触りや軽さの面で特性のある素材。これまでの企業がやってきた実績を超えるストーリーの伝え方や、ブランディング、製品開発やBtoCへのより広範囲な市場進出など、幅広い提案が期待される。さらに素材の活かし方だけでなく、販売後や使用後といったモノのサイクルまで考えられた提案に期待する。

株式会社Rinnovation(文京区)

2018年に地域ブランドの価値向上や、地域の経済活性を通して「地域創生」を目指す会社としてスタート。沖縄でのさとうきび創生事業として、バガスをアップサイクルした繊維を開発。既存の高環境負荷素材(石油由来のポリエステル等)の代替素材の開発も行う。地方自治体やJA等の課題解決を行なうコンサルタントと、バガス生地から製品を作り出す縫製スタッフで構成されており、若い社員の採用に力を入れ、zoomの活用等コミュニケーションのとり方を工夫している。現在は、1gでも多くのバガスをアップサイクルすることを使命としており、今のビジネスモデルを他地域や他食材にも横展開させスケールアップを図ることで、更に多くの未利用資源の価値や可能性を広げてくことを目指す。「未利用資源のアップサイクルの先進事例となり、その方法を世界へ広げていく」ことをビジョンに掲げ、有効活用する余地のある資源を「原材料」と捉え、アップサイクルがスタンダードな考え方となる社会づくりに寄与していきたいと考えている。

https://www.rinnovation.co.jp

※画像は沖縄の店舗です。

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