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職人技で古美色を再現する「硫化燻し加工技術」

株式会社富士産業

アピールポイント

● 銅や真鍮をシームレスに溶接し、エイジング加工が可能。
● アクセサリーなどの小物からハンガーラックなどの大物什器まで対応可能。
● アイデアスケッチなどのイメージから具体的な製品にできる。

テーマとなる技術や素材について悩んでいること

● 進化した塗装技術によって、真鍮風に見える製品と比較されてしまう。
● 酸化被膜を形成しても指紋痕が目立つ場合がある。
● 真鍮素材の認知度は高くなく、知らない人からは鉄と言われてしまう。

テーマ概要

当社のエイジング加工は、硫化燻し(りゅうかいぶし)、または古美(ふるび)色といわれるもので、我が国では神社仏閣などの建築用鋼材の着色に広く利用されてきました。近年では加工ができる職人が高齢となり、技術継承が進んでいません。そこで自社で技術を確立し、真鍮のエイジングの魅力を広めるためのプロダクトを製作。本物のアンティークのような色艶を真鍮素材に与えられるようになりました。職人が減少しているため、今後ますますこの技術は貴重になっていくと思われます。また、エイジングだけでは製品ができないため、シームレスな溶接の技術も確立しました。

特許・受賞歴・実績・クチコミ

2019年 「伸銅品の溶接および燻し加工」として飾ブランドに認定。

Q.自社ならではの強み、他社との違いは?

普通の工場では、きっちり数字が入力された図面がなければ、製品にできません。しかし、弊社はアイデアの段階からお客様と話し合い、具体的な製品ができるまで伴走型のサポートをしながら製作しています。個人様から企業様まで幅広く対応しており、他社で断られた案件を解決する事が度々あります。

Q.いま抱えている課題は?目指していることは?

弊社は大手企業のOEM製品の開発を手掛けています。しかし、製造元として名前が出るのは元請け企業であり、自社名は伏せなければならないのが現実です。下請け企業からの脱却が長年のテーマです。また、硫化燻し風に塗装した物を真鍮の硫化燻しと思っている方が多いため、本アワードを通じて真鍮素材からなる本物の硫化燻しを広めたいと思います。

Q.提案に期待していることは?

自社ブランドのECサイトを中心にファッション小物を製作することと並行し、アウトドアブランドとのコラボレーショングッズを製作しております。これ以外にも新たなクロスオーバー商品の開発に挑戦したいです。アパレルや家具ブランドの別注ポイントになるようなパーツを真鍮のエイジング技術を使って試したり、オリジナルブランドにも展開したいと考えています。もちろん、ゼロベースでのブランド立ち上げでも問題ありません。

Q.デザイナーとの協業に期待していることは?

デザインの可能性が当社の技術にどう結び付くかが楽しみです。今まで社長が独学でデザインしたものを発表してきましたが、真鍮素材を使った電子機器分野との融合(例えば置時計や掛け時計などのインテリア雑貨)などは、自社で実現できていない分野です。

株式会社富士産業(飾区)

1969年(昭和44年)に先代が金属問屋としてスタート。もともとは金属問屋として金属を切断(シャーリング)して配送することが主業でした。そこから「下請けからの脱却」をテーマに掲げ、バリ取りや、穴開け、曲げ、溶接といった二次加工の技術を高めていきました。真鍮素材を主役にしたさまざまな製品を開発し、「FUJIKINKO」という自社のブランドも創業しています。

https://www.fujisanngyo.co.jp/

社風

社員の平均年齢は42才。お客様のご来社が多く、他社が断る案件も社員が一丸となって問題解決に取り組んでいます。気軽に相談できるアットホームな町工場です。

自社製品・技術を通して、または企業として、社会で果たすべき使命(ミッション)や提供する価値など

銅・真鍮に代わる素材の登場や塗装など、従来の市場では伝統的な技術の活躍の場が少なくなっていることに対して、新たな市場を自分たちのアイデアで開拓したいと考えています。若い世代へ技術を継承し、持続させることを使命としています。

今後の夢や目標、将来構想など

日本のモノづくりの技術力や、その技術から生み出されるプロダクトを世界にも届けることが目標です。

テーマ企業プレゼンテーション

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