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アパレル向け生地を活用した
オリジナル「製本加工技術」

株式会社新里製本所

アピールポイント

● これまで使われていなかった裏地や素材を活用し、無限の組み合わせが可能。
● 製本のイメージを覆す、数百、数千におよぶデザインの可能性。
● 端切れなど、服には使えない余材でも有効活用でき、SDGsの項目も満たす。

テーマ概要

製本事業者は出版社から仕事をもらういわゆる「待ち」の事業。出版不況の中、長期的な事業発展に向けて新たな事業を模索する必要性があった。また、上製本のみならず、製本事業者は年々数が減少する一方、製造設備の投資効果に見合わないため新規参入もなく、業界全体としても打開策が必要な現状である。特徴ある上製本、その製造技術への認知を一般の消費者や事業者に向け、より高める事業展開を検討し、外装をアパレルのような生地を使って多色展開できないかとの思いに至る。生地をノートに加工する技術を自社で保有していたことで、サンプル品を製造し、実現可能性を確信。製本業界の新たな可能性を見出す。

特許・受賞歴・実績・クチコミ

二子玉川の蔦屋書店にて催事開催。女性から好評を得る。

Q.自社ならではの強み、他社との違いは?

長年の業歴と希少な機会を保有しているほか、製本の中でも加工が難しい「上製本」の製造が可能。製本には一般的な雑誌製本で行われる「並製」と、辞典などに利用され、ハードカバーと言われる「上製」での加工技術がある。当社では自社で上製加工が可能であるほか、東京都文京区という工場立地および創業90年をむかえる老舗であり、さまざまな課題解決の経験を有している。

Q.いま抱えている課題は?目指していることは?

これまで長年、受注生産の立場で出版社や印刷会社から受けの仕事が基本であったため、代表以外に対外折衝が可能な人材がいない。また、自社製品を販売していく販路もこれまでとは異なる販路も必要であると考え、外部コンサルなどと契約し、開拓に努めているが、まだまだ不足している。より多くの一般消費者の方々に、素敵なアパレル生地を使ったノートを認知してもらい、所有することで多幸感が得られるようなブランドにしていきたいと考えている。

Q.提案に期待していることは?

製造に関するノウハウは有している一方、これまで製本・出版事業の範囲にとどまっていたため、製品デザインや販路について、もっとできることがあるのではないかと感じている。自社で加工および製造が可能であり、サンプルも数日でできるほどタイムリーな提案は可能だが、提案の幅については業界内の考えにとどまっているのが現状。この事業によって上製本が世に広く知られてほしいと思うと同時に、生地の可能性が広がり、生地メーカーに対しては販路の拡大、手に取ってもらった消費者の方には持っているだけで幸せな気持ちになるというベネフィットを提供したい。

Q.デザイナーとの協業に期待していることは?

これまで製本業界では、外装生地の選択肢が限定的で顧客側も「こうゆうもんだ」というイメージで改革が進んでこなかった。しかし、時代の流れとともに製品の付加価値が必要であり、唯一無二のオリジナルノートを展開できる可能性を感じている。製造ノウハウについては、これまで培った技術によって確固たる自信を持っているものの、これまでとは異なる販路、市場への展開となるため、業界外の方からの意見を取り入れ、よりブラッシュアップを行うことで、ブランド価値の向上と市場への展開を期待している。

審査委員よりコメント

上製本を中心に、高品質の製本で実績があり、アイデアを実現させるエネルギーと高い技術力のある企業である。これまでの製本、出版事業の範囲に留まらないビジネスモデル提案に期待する。

株式会社新里製本所(文京区)

昭和9年に創業して以来、上製本を主軸として記念誌からブランドカタログ、写真集まで、時代に残る出版物の製本を手掛ける。上製本を手掛けることのできる製本所は希少になっているなか、「製本のまち」として知られる東京都文京区の白山にて、今も制作者の想いに寄り添い、一冊一冊にこだわりを持ち、高品質の本を提供し続けている。社員一人一人が自ら考え、行動できる人材ばかりで、関係者に常に感謝を忘れず、お互いに良い関係になれるよう社員全員で心がけている。今回のテーマである新事業に関する将来性も確信しており、自社の成長を通じて業界全体が拡大することを目標としている。

https://www.niizato.jp

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