Vプロセス(Vacuum Sealed Molding Process)は、アルミ鋳造方法の1つで、鋳型の材料となる砂を減圧により造形する方法減圧鋳造法。これまで困難とされてきた、薄肉・複雑形状、高精度な鋳造が可能であり、同社はこの技術で銅やステンレスのパイプを鋳造品に直接鋳込むことに成功。従来の板材に切削やプレス加工してパイプをかしめる方式に比べ、コストは1/3。
土台となるアルミの融点は約700℃、パイプ素材の銅やステンレスの融点は1000℃以上のため、パイプの周りにアルミが流れてもパイプは溶けないが、熱膨張のため曲がりやすくなる。同社は、そのパイプをほぼ中心に安定させる技術(仕上がりは0.5〜0.8mmの厚み)を開発し、かつパイプの中を高温酸化させないノウハウも習得した。
現在、本技術は半導体装置の中のデバイスを冷やす「コールドプレート」として使用されている。また、より熱伝導を効果的にさせる為、融点が同じであるアルミパイプをアルミ鋳物の中に鋳込む技術を開発中。
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1952年に創業。自動車ウレタンシート発泡金型、シート表皮成形用金型、Vプロセス鋳造・創作鋳造品、アルミニウム合金砂型鋳造、回転成形用金型など、様々な種類のアルミ鋳造製品を製造。
鋳造は、低コストで量産性が高いという特性がある。複雑な加工も可能であり、このパイプ鋳込みにより温冷ができることなどを活かして、住宅・土木関係など、公共性の高い分野に期待したい。